カプリコーンは食べられる

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 俺は大混乱しながら、歩き出した射手についていく。  そうして連れていかれた先は、電車で二駅先の、創作フレンチのお店だった。個室席ばかりで、洒落ている。 「ようこそおいで下さいました、射手様」 「お久しぶりです、オーナー」  そんなやり取りがあり、俺達は奥の一室へと通された。 「ここ、接待で何度か来たんだけど、料理が最高に美味しいんだよ」 「そ、そうなのか」 「きっと山羊も気に入ると思う」 「あ、ああ……なぁ、射手? 告白というのは……?」 「うん。率直に言うけど、俺と付き合ってほしい。恋人になって下さい。それでワインだけど、赤と白どっちが好きだ?」 「白だな。え、ええと……」  世間話のついでのように告白されて、俺は戸惑った。確かに雰囲気のあるお店だし、甘い言葉を囁かれたら陥落する人間が多数だろう店の空気感ではあるが、俺は震えるしか出来ない。 「……べ、別に責任とかを感じる必要はないんだぞ? あれは同意だったし、射手は別に俺を好きじゃないだろう?」 「責任? 感じないし、同意だって俺も思ってる」 「そ、そうか」
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