カプリコーンは食べられる

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 どうやら営業部の飲み会があるらしい。うちの営業は、獅子部長と天秤先輩がひっぱっていて、そこに射手と双子、後輩の牡羊が頑張っている。他の部署のメンバーと合わせて、このオフィスには、総勢十二名が勤務している。俺もその中の一人だ。 「じゃあな、山羊、水瓶。先に行くわ」 「お疲れ様」  水瓶が顔を上げた。俺も頷いて返す。にこやかに手を振ってきた双子には、手を振り返しておいた。それから、二時間ほどしたところで、水瓶も仕事を終えたらしく立ち上がった。 「僕も帰るよ。お疲れ様」 「お疲れ」  見送りながら、俺はまだまだ終わらない作業風景が広がるパソコンのモニターを見た。明日までに終わらせなければならないから、残業は確定だ。比較的ホワイトで、うちの会社は残業代は出る。そこは有難い。俺は気を引き締めなおしてから、キーボードを叩く作業に戻った。視線は常にモニターを見たままだ。  三十分、一時間、一時間半、二時間、二時間半――。
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