カプリコーンは食べられる

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 ――地味。  これは物心ついてから、俺が言われ続けてきた言葉だ。なんなら、誰かが作ったという遊びの星占いソフトで、性格診断をしてみたら、他の十一星座はそこそこ長いコメントが添えられていたというのに、山羊座だけ『地味』の一言だった過去すらある。  それはこの株式会社プラNetに就職した今なお、俺に対してもたらされる変わらない評価でもあるし、俺自身もそう思っている節がある。というか、俺を挟んでいる同期が個性的過ぎる。  営業の射手は、一見馬鹿だ。底抜けに明るく気の良い奴――っぽい、が、変なところで哲学的だったりするし、何より仕事が出来る。営業成績一位になったのは、入社してすぐの事だ。真面目に仕事をする姿は、率直に言って格好いい。明るすぎる普段とのギャップがすごい。  もう一人の同期の水瓶も、天才肌だ。こちらは開発部に入って早々、優れた新商品はおろか理論を生み出し続けている。
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