転機

3/5

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 これは現実?  瓶の外に出るなんて。  身体がぐらり、と傾く。 「おっと」  男は私を支え、「歩くのは久しぶりか」と抱えてくれた。  見上げると、杖の宝玉と同じ青緑の瞳が(きら)めく。 「あんた名前は?」  首を振った。思い出せない。  彼は私を抱えて階段を(のぼ)り切った。 「俺はグレイ。よろしくな」  返事をしようとしたが、地響きがした。  ()いで歓声がどっ、と耳に飛び込んでくる。 「終わったみたいだな」  グレイがつぶやいた。  
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加