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この時に二回の法則性を踏まえれば、次は地震が来る。そう思って態勢を低く保ち備える。地震はいつ来るか分からないから怖い。しかし、次に来るだろうと予測すれば心構えが出来る。
……ゴゴゴ……
態勢を低くし、地面スレスレまで伏せた俺の耳には確かに地鳴りがした。動画でもその音が確認出来る。周囲は静寂そのものなので余計に音が強調されて聴こえた。
ドーン!
地鳴りとは別の、例えるなら15階建てのビルぐらいの建物が倒壊した音がする。それから遅れるようにして地震と思われる揺れが襲う。今回の震度も2程度だ。
地震が頻発する場合は、大抵大きな地震の前兆現象として群発する傾向がある。ある火山の噴火なら、三日前から日に100回とか聞いた事がある。
俺はそれを考えると高架下は危ないと思った。
群発地震が何かの前触れだとしたら本震が何処かで来る。俺がこの地にやって来たのは数時間前だ。突然やって来たので、群発地震がどれぐらい前から発生しているのかは分からない。心霊的な恐怖よりも、物理的に、そして常識的に想像出来る現象はより現実味がある。
ズン……、ズン……
ズンの連続した音は巨人の歩く音だ。だが、二度の前例からすれば巨人は歩くスピードはそんなに速くない。高架下から駅舎の入り口は目と鼻の先にある。
「駅舎は目の前……イケる!」
すぐさま動けば、巨人が通り過ぎる前に駅舎に行ける……俺はそう思ったし、実際に言っている。
「……巨人の至近距離からの撮影は……?」
俺は諦めの悪い性格だ。地震と巨人の関係性はもう解っている。今、動かなくても高架に潰される事は無いと分かっているので俺は残る選択肢もあった。
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