あるじ

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奴がよくうろついている駐車場で、車の影に身を潜めて待つ間に、わたしは丸い光が回転するように道路の向こうが照らされては陰り、また明るくなっては暗くなりとする、その灯りの主を探していた。同じようで、同じではないが、一定の間隔で起こる明暗の繰り返しは、「あるじ」のわたしの横で、かわいいが良く見る箱に似ていた。ピカピカ、ピカピカと点滅するあの中はどうなっているのだろうかと、わたしは次の光に気持ちを移していった。 車がギシリと鳴り、その上になにかがのったのだとわかる。それから、タンタン、トントンとこ気味の良い音を響かせながら、こちらを目指しているのではない足音は、わたしの横と、頭を飛び越えていく。 「待った、待った」 隣の車に移った早足の足音を止めるには、叫ぶくらいに声を出さなくてはいけないようで、遠ざかるのにまた呼びかける。 「待った!待ってくれ!」 タンタンという足音が止まり、ボソボソと遠くに声をかけるのが聞こえると。今度はタンタンの足音がこちらに近くなってくるのがわかる。 「あっせん屋、話がある」 どうしたと、戻って来る足音と共に声が重なる。
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