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慣れてないふりしても無駄だ
そして自分もベルトをはずし、スラックスを脱ぎ捨てた。すると愛生緒は俺のボクサーパンツの辺りを見て喉の奥から変な声を出した。
「ひっ――!」
そこは既に隆起し、アルファの雄であることを主張していた。
「これで今からお前を嫌ってほど喘がせてやるからな」
「あ……そんな……」
「ふん、どうせこんなもの見慣れてるだろうに。初めて見ましたって顔しても無駄だぞ」
「こんなの、見たことないに決まってるでしょ!」
そんなにデカいか……?
別にアルファなら普通程度だと思うが。まあいい。
「さあ、楽しませてくれよ。今までたくさんの男を狂わせてきた愛生緒くん」
「ち、ちがう。そんなことしてないって言ってるでしょ。向こうが勝手に――」
「ああ、わかったわかった。こうやっていつもアルファ男を引っ掛けてるんだよな?」
「え……?」
俺の下半身を目にしてから、愛生緒のフェロモンの匂いが急に濃さを増した。俺は愛生緒のヒート周期を業務上把握してるが、次のヒートまでもう一週間を切ってる。愛生緒はいつもこういうタイミングを狙って男を誘惑しているに違いない。
今更惚けても無駄だ。
俺は愛生緒の顎を掴んで無理矢理キスした。
「んっ――!?」
あー……やわらか~。想像してたんだ、ずっと愛生緒のこの唇の感触を。
でも想像よりもプルプルしてて、しかもフェロモン出かけてるからめちゃくちゃ良い匂いだ……。
俺は夢中で唇の感触を味わった。そして、彼の唇が赤く腫れてしまう前に今度は舌で歯列を割った。
「ふぁっ……」
薄く目を開けると、愛生緒は赤い顔で苦しそうに眉を寄せている。
そんなに俺とキスするのが嫌なのかよ。こんなフェロモン撒き散らしてるくせに――。
彼の口の周りが唾液でベタベタになる頃、俺は彼の胸の先端に手を這わせた。
「なんだ勃ってるじゃん。無理矢理されて感じてるんだ?」
俺が笑いながらそう言うと彼は上目遣いにギロッと睨んできた。しかし、いつものような迫力はない。潤んだ目に紅潮した頬。息が乱れているため、ただ色っぽいとしか思えなかった。
「ばか! 虎太郎酷いよ。こんな無理矢理されたくなかったのに――……」
「そうか? でもこっちも喜んでるみたいだけど?」
俺は愛生緒に拒絶されたのが悔しくて、彼の下着を押し上げている先端を指で弾いた。
「アッ!」
愛生緒はそれだけでびくんと身体を痙攣させた。
随分反応がいいな。どうやら思ったより楽しめそうだ。俺の想像では、愛生緒は女王様みたく余裕で男に奉仕させるタイプだと思ってた。だけど、生娘みたいな新鮮な反応が返ってくるので俺はちょっと嬉しくなった。
――愛生緒が経験豊富のはわかってるけど、それを匂わせられるのは嫌だからな。
男は単純なもので、相手が慣れてない方が安心する。リードしてるって実感が男としての自信に繋がるのだ。俺は愛生緒の下着を下ろそうと引っ張った。
「あ、やだ! だめ!」
すると愛生緒は足をバタバタさせて嫌がった。しかし彼の動きを封じるのなど造作もなかった。
「下着汚れたら困るだろ。下ろすからな」
顔を背けて恥じらう愛生緒の下着を剥ぐ。すると、またまた見慣れぬ物が現れた。
――おいおい、少年か?
「愛生緒、これ……」
「バカ! 見ないでよ! 文句あるの!?」
明らかに使い込まれていないソレ。オメガだから、入れる側じゃないってことか?
いや、だけど愛生緒は男が対象じゃないって言ってたしJDと結婚すると言ったし。
まさか童貞なんてことは……ないよな?
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