噛んでもいいよ

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噛んでもいいよ

健気に勃ちあがったモノの先っぽを指でツンツンつつくと愛生緒が可愛らしい声を上げた。 「あんっ」 俺はもっとその声を聞きたくなって半ば無意識のうちにソレを口に含んだ。 「やっ! あぁっ……!」 普段のツンケンした態度からは想像も出来ないような甘ったるい声で愛生緒は鳴いた。 たまんないな……俺の脳内妄想劇場の何倍もそそる声だ。 「んっ、だめ……虎太郎もう離して!」 出ちゃう、と言いながら愛生緒は俺の口の中に放った。苦く青臭い液体が口内に広がる。 今まで男のオメガとも寝たことはあったが、俺が口でしたのは初めてだ。(自分と同じような物を口に入れる気になれなかった)吐き出そうか迷ったが、捨てるのはもったいないので飲み込んだ。 「やだ……嘘。飲んだの?」 愛生緒はドン引きしていた。当然だろう。幼馴染のお兄ちゃんがいきなり拘束してきて無理矢理舐めてからのごっくんだ。 ここまで来たらもう引き返す事はできない。 俺は愛生緒の言葉を無視して今度は彼の後孔を舐めた。 「ひゃあっ!」 愛生緒はびっくりして甲高い声を上げた。 俺は構わずに舌先を中に入れてほぐす。しかし愛生緒は嫌だやめろと大騒ぎし始めた。 「しーっ。いくら奥まった仮眠室だからって、そんな声出したらバレるぞ」 「だ、だめ。もうやめて、虎太郎。謝るから」 「謝る? 今更何を」 「お願い、何でも言うこと聞くから……もうこんな所でおかしなことするのはやめて」 こいつ……フェロモン垂れ流して目ぇトロンとさせておいて何言ってんだ。 「やめてほしいのか?」 「うん」 「じゃあ言えよ」 「言うって何を?」 「拘束を解いて欲しいんだろ。俺に首噛んでくださいっておねだりしないとここから出さないって言ったよな」 「虎太郎――……本気なの?」 「ああ。このままお前を放置して帰ってもいいんだぜ」 「そんな!」 愛生緒が血相を変えた。 まさかこんな姿で俺が可愛い愛生緒を置いていくはずもないが。 彼が目を背けたままボソッと言う。 「……何で? 虎太郎は、何で僕にそんなこと言わせようとするの」 「お前を番にしたいからだ」 「だから、そうじゃなくて! なんで僕を番にしたいの?」 「そんなの、お前のことが好きだからに決まってるだろ」 愛生緒がこちらを見た。 「虎太郎は、僕のことが好きなの?」 「ちっ――。言わなくてもわかってるだろ」 俺が恥ずかしさを紛らわせようとぶっきらぼうに答えると、愛生緒は俯きながら言う。 「ふーん……いいよ。別に、僕の首噛んでも……」 え、いいの? 俺はこれを聞いてつい調子に乗った。 「いいよ、じゃないだろ。噛んでください、だろ」 すると彼がこちらを睨みながらも素直に言い直した。 「……噛んで下さい」 「ふん! まあいいだろう。じゃあこれもつけ加えて。僕の首を噛んでお嫁さんにして下さい――だ。ほら」 「は? キモいんだけど」 くっ――! ゴミを見るような冷たい目をしやがって! 俺は苛立ちながらも愛生緒の手首を縛っていたネクタイを解く。 やっと解放されホッとした顔を見せた愛生緒をうつ伏せにひっくり返し、身体の上にのしかかった。
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