うめねくんの秘密が知りたい

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それでも みたらしがすくすくと育ってくれるならばと割り切りもできた。 栄養状態が安定するまでは仕方ないと甘んじて要求に応えてやろうとも思ったのだが、困ったことに左側の乳首ばかり吸わせていたので翌日には赤く腫れ始めてしまった。 仕方なく朝、昼、晩、就寝前の四回、交互に左右の乳首を吸わせ、その後何とか胸から引き離してフードを食べさせる。 猫というのは人間に固執しない生き物だと見知っていた虎太郎だが、実際は かなり個体差があるのだとわかり、驚いた。 しかし驚きと困りごとはそれだけではなかった。 「今日は雨に濡れたし先に風呂入ろ」 腫れた乳首を洗う際、始めは痛みしかなかった感覚が、シャワーの刺激に慣れるにつれ快さを感じ、うっかり湯を当て続けると勃起してしまうようになったことだ。 「っ、、、ん、ふぅ」 結果、 (ほて)る身体を治めるため、ほぼ毎日洗い場で自慰をするようになっていた。 猫に吸われるというハプニングによって、意外にも乳首というのが自分にとって、かなりな性感帯であったことがもう一つの驚きだった。 「ん、、ん、、ん」 右手でしごき、左手は胸の尖りを交互に撫でたり、擦ったりを繰り返す。 一人暮らしとなった今、時と場所を(はばか)る必要はないのだが虎太郎は途中で手を止めた。 先日ともすれば丑蜜に見られかねなかったという緊張感が、このところの淫らな興奮に拍車をかけていると認めなければならない。 ─ 襖一枚隔てた向こうで、僕が仔猫に乳首を含ませているのを見たら、あの人はどう思うだろう ─ 仔猫を救うためだったとはいえ、人に言えないことを みたらしに覚えさせてしまったという背徳感も下腹を一層熱くさせる要因だった。 これまでは特定の誰かを思って自慰することはなく、単に自分が男性に抱かれる、というシチュエーションだけでオーガズムを迎えられていたのだけれど、あの日から丑蜜を思い果てようとしている自分がいる。 虎太郎は目を伏せて再び強く速く手を動かした。 「ぅっ、、、っ」 いけないいけないと思っていても、 あの、 人を見透かしたような丑蜜の視線を瞼裏に引っ張り出すだけで、切羽詰まった声と熱い息が漏れ出るほどの解放、そして吐精を迎えることができた。 「はぁはぁ、、、は、、ぁ、ぁ」 落ちた白濁が湯と混じり、排水口に消えてゆく。 「ど、、うしよ、、、」 ゴクリと喉を鳴らし虎太郎は壁に額をつけてうなだれた。 「あの人の、、、 丑蜜さんのことを思い出してする(・・)なんて、、、」
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