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次に丑蜜は別人かと思うほど表情を緩め、改めて虎太郎に視線を据えた。
「こからは俺個人の感情を伝えたいんだが」
「君の生活を詮索し、困らせたり嘘をつかせたりしているならば、それは俺の本意ではなく、謝りたいと思う。
だが、うめね君の生活ぶりや不可解な言動に出会ってからというもの、それを知りたいと思う気持ちが濃くなってな」
「不可解、、、って」
「何故バイト生活にしてまで町内の役を引き受けているのか。
実際のところ、金に困っているのかいないのか。
キャンプ初心者が使いそうもないテントとシュラフで何をするのか、みたらしにどんな癖のある餌やりをしているのか。
それだけじゃない、珍しい庭木も池にいる食用の鯉も、この家のあちこちに張り巡らされたテープなど、知りたいことが後から後から湧いて出てくる。
不思議なもので、部下の竹内に指摘されるまで気づかなかった。
単に好奇心を揺さぶられただけだと思っていた俺が実は気になって仕方ないのは
うめね君自身のことだったんだ。
つまりどういうことかと言うと、、、
そう、確かにこれは一目惚れだとか恋だとかと言うものだ」
「こっ、、、恋」
「うめね君に惚れてるんだよ、俺は」
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