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「、、、、」
「どうした? うめね君」
─ 賭けて、、、みるか。
『虎太郎や ── 誰を助け、誰を生かすのか、心を鬼にして選びなさい。
選んだら、その者にこれから起こる事を伝えなさい。
そうした上で相手がお前を理解し、信じ、伴に歩いてくれるようならば、その者を命を懸けてでも守りなさい』
と言った、
祖父の言葉を彼に投じて。
丑蜜がその対象になるかどうかはまだ分からない ───
それでも互いに何かを感じた以上、鍛え培ってきた勘に頼ってもいい。
僕も『身を砕く覚悟』を以て。
虎太郎はテーブルに手をつき腰を上げた。
「僕、髪を乾かしてきます。
お言葉に甘えて丑蜜さんにはテーブルの準備をお願いしますね」
「君からの話はもういいのか?」
「はい。
ただ、食事の後で見せたいものがあります。
話があるとすればその時に」
「そうか。
なら、まずは腹を満たすとするか」
「台所の戸棚に小皿と箸、醤油差しがありますから。
あと小鍋にお湯を沸かしておいて下さい、あとで簡単な汁を作りますね」
笑顔で言い、虎太郎は洗面所に向かった。
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