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室内がランタンの灯りだけで良かった、と虎太郎は心から思った。
これが煌々とした電灯の下であったなら、とても耐えられなかっただろう。
まつ毛を震わせ横向く虎太郎に、何とも表し難い愛おしさを感じた丑蜜は、その顔を下から支え取り、互いの表情がはっきり分かるほどに近づけた。
「うめね君、その胸は、、、」
「止めて下さい」
その先は聞きたくなかった。
なぜなら、自分に向けて、はっきり『惚れている』と言ってのけた男に、自覚せざるを得ないほど男らしからぬ胸を見せた途端、内股の付け根が甘く疼いてしまったから。
そうした身体の反応は、同性である丑蜜に虎太郎の身体が色欲を覚えた証であり、だからこそ一言でもからかいや同情めいた言葉を受ければ、心が傷ついてしまいそうで怖かった。
─ 僕は丑蜜さんが好きだ
それは確かに見た目や声、垣間見える知性から始まったことに違いないのだが、会話を重ねるにつれ価値観を同じくし、理解を越えた部分の相性すら、少しもずれることなく、また欠けもしなかったことを認めての上である。
丑蜜に向かうのは、尊敬の念だけでないと今はっきり言える。
ゴミ捨て場で初めて懐に入れられた
あの日から、男の胸の厚みと硬さ、
更には香りまでを思い出し、愛撫される妄想に浸りつつ自慰に耽っていたのは虎太郎の方なのだ。
それなのに、
「変だと思いますよね、やっぱり。
でも僕自身が一番変だって思ってるんです。
こんなになるまで みたらしに吸い癖をつけてしまって。
毎日止めなきゃ止めなきゃって思ってて、でも止められなくて」
虎太郎は細身の方であったが、女性で言う乳房に当たる部分と尻の肉付きはいい方だった。
特に胸に関してはみたらしに含ませたことで乳輪が赤く張り出し、尖りというより伸び出た乳首が正に産後の母猫であるかのような乳房を形成してしまっていた。
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