首ったけ

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「この前『僕は男です』って、丑蜜(うしみつ)さんに確かめましたよね? 丑蜜さんが僕を好きだと言ってくれたのは、僕が男の心と身体を持っているからでしょう? 、、、思い切って言いますけど、僕も丑蜜さんが好きです。 けどマイノリティは全く同じじゃない。 何ていうのか、、、多分」 「みたらしに吸われ、変わってゆく胸を実は嬉しく思ってた。 それで『これは変だ、いけないことだと自分に言い聞かせ』ながら吸わせる行為を止められなかった」 軽くキスをされた後に言い当てられ、虎太郎は驚いた。 「、、、、」 「女性になりたいわけじゃない。 けれど、みたらしに対する母性で目覚めたものがある。 謂わば、、、男として愛し、身体は女のように愛されたい」 何と表現して良いのか分からない心の深層部分に丑蜜はいとも簡単に触れ、言語化してくる。 「え、、、ええ」 「で? 俺がその、男と言うには やや異なる胸を見て興醒めしたとでも?」 「ち、違うんでしょうか」 「確かめればわかる」 そう言って丑蜜は虎太郎(こたろう)の手を取り、固く勃ち上がっている自らのものに触れさせた。 「ぁ、、、」 「うめね君の、けしからぬ(・・・・・)胸を見てこうなったんだが」 虎太郎の手首を握っていた手が離れ、シャツの隙間を這って今もまだ濡れている細い筒型の乳首を探り当てた。 「、、、っ」 「たった今俺が好きだと言ってくれたな?」 「は、、、は、はい」 「本気か」 「はい。 す、好き、、、です」 丑蜜は再び唇を重ねた。 しかし今度は圧をもって奪うように強く。 同時に首根を掴まれたみたらしは、丑蜜によって虎太郎から離され下に降ろされたのだが、不思議なことに一度不服そうに鳴いただけですんなりと食事を始めた。 「丑蜜、さ、、、ん」 丑蜜の舌が優しく虎太郎の舌を誘い、絡まる。 虎太郎は初めての事だらけでどうして良いのかわからない。 何しろはだけたシャツから露わにされている乳首は、吸われた後の濡冷えによって、部屋の空気に触れてさえ敏感に反応している。 そこへもって丑蜜(うしみつ)の乾いた親指が胸の先端をくりくりと撫でたり左右に倒したりするのだから。 何よりも凛々しくも色気じみた顔がごく間近にある緊迫。 それでも、腰の奥でじくじくとしたものは膨れ上がっていたし、添えている手の内で丑蜜の勃起を確かめている大胆な自分がいた。 恐る恐る動かしてみると、丑蜜ではなく、自らの陰茎からじわりと先走りの液が溢れるのがわかる。 『濡れる』というのが、女性性だけの特権ではなかったのだと、丑蜜に愛撫される緊張の中、虎太郎はほのかな歓びを感じていた。
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