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「彼に身体を許す気まではなかったってことですかね。
ま、分からないでもありません。
傍からみれば丑蜜さんと梅音君は謂わば狼と白ウサギ。
好きとなったら本能丸出しで駆け引きもクソもない男に追われ続けるわけですから。
その上体格差あり過ぎでビジュアル的にはかなりヤバめ。
無理矢理遂げたら向こうは恐怖も恐怖、世間的には犯罪ですよ犯罪」
「お前、分かってないな。
俺達はそんな事に重きを置いていない。
確かに、これからと言うところで首を振られたが、彼は終始俺からは離れなかった。
その姿たるや可愛い通り越して地球を周回し大海原を渡って戻って来るほどだった」
「駄目だこりゃ。
大海原に溺れるどころか、完全に沈んじゃってるわ、、、」
「なに」
「いえ」
「迫る俺を止めたあと、彼は何て言ったと思う。
『代わりに僕の秘密を教えます』と」
「仔猫への特別なフーディングの他にも秘密が?」
「そうだ。
、、、中身は言えないけどな」
「何なんですか、さっきから。
言えないならわざわざ気を持たせないで下さいよ」
鼻白む竹内を前に丑蜜はあの夜、梅音が見せてくれた、『もう一つの秘密の砦』を思い返してみた。
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