レンタルライフ

「最短、一泊二日から！持ち主が了承すれば、永久契約も！あなたの人生もこれでリスタート！」

一気に心拍数が上がるのを感じる。鼻先の汗を肩で拭い、もう一度画面に目を向けた。

「一泊二日？永久契約？人生をリスタート？何を言っているんだこのサイトは。そんなことが...」

そんなことを言いながら、さらに下に行くと動画が流れ始めた。そこにはこのサイトの創設者と名乗る男が写っており、ゆっくりとした口調でこう言った。

「君は今まで自分があの人であればいいのにと感じたことはあるか？あの人に自分の大変さを知ってほしいと感じたことはあるか？もちろんあるだろう。でなければこんなサイトには来ていない。」

男はクックッと笑った。僕はその不気味な笑いにゾッとした。まるで、僕のすべてが見透かされているようだ。男は続けてこう言った。

「おっと、そう不気味がるんじゃない。誰かになる。誰かに体を貸す。そんな夢のようなことができるのがこのサイト、レンタルライフだ！
……君も変えたいんじゃないか？今までの人生を。」

ああ、そうだ。僕は変えたい。こんな腐った人生なんてもういらないんだ。変えなきゃならないんだ。
画面の向こうで男がにやりと笑った。

「そんな君には、一泊二日の体験から永久契約ができるこの身体がおすすめだ。借りるも借りないも君次第だ。もし、借りるならこの動画の下のボタンを押したまえ。では、良いレンタルライフを。」

動画はここで止まった。なぜだか知らないが、僕の中に疑う気持ちはもうなかった。すぐに、動画下のボタンを押した。
画面が切り替わり、今からもらう体の持ち主についての情報が現れた。16歳の女の子のようだった。年齢的に高校生だろう。そこにはちゃんと永久契約可ということも書かれていた。

「16歳の女の子がこんなサイトにいるのか。しかも、身体を捨てるつもりで。……まあ、僕も同じものか。」

今からこの子になる。ということはこの身体を捨てたも同然だ。しかし、この身体に未練はない。僕はこの子になって人生をリスタートするんだ。
確認ボタンを押した。その瞬間、頭に強い衝撃を受けた。

「うッ…頭が…。」

目の前が真っ暗になり、身体から一気に力が抜けた。完全に気を失う手前、最後に聞こえたのはあの男の声だ。

「良いレンタルライフを…」