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どれくらい気を失っていたのだろうか。今度は女の人の声で気が付いた。
「…きてください。起きてください、契約者さん。」
契約者?………ああ、レンタルライフの話か。少しずつ頭が働いてきた。ゆっくりと目を開いた。
「ここは?」
「私の部屋ですよ。散らかっていてごめんなさい。これからはあなたに片付けしてもらわなきゃならないのに。本当にごめんなさい。」
確かにここは女の子の部屋のようだ。きょろきょろと周りを見渡すが女の子の姿は見えない。
「君はどこにいるんだい?あれ?あーあー、僕の声が…!」
僕の声が女の子の声になっている。まさにさっきの女の子のような。ここで、一気に頭がさえた。
「えっと、私はあなたです。といってもピンときませんよね。ごめんなさい、えっと詳しく言うと私はあなたの…」
「…鏡、鏡はどこかに無いのか?鏡はどこにある!」
彼女が話していたところを遮り、荒々しい口調で尋ねた。
「あっ、えっ、ご、ごめんなさい。鏡ですね。机の上に手鏡があったはずです。なかったらごめんなさい。」
それを聞くなり、僕は机に飛びついた。
「あっ、それです。その赤いやつです。」
すぐさま手に取り、自分を映した。
「う、嘘だろ。こんなことってあるのか?」
黒くて長い髪に透き通った白い肌そして、大きな瞳。そこに映っていたのはあのサイトで見た女の子であった。それからすぐに、首のあざに気が付いた。
彼女は何か話していたが、耳に入らなかった。
首のあざが痛んだ。この痛みのおかげで、これが現実であることを理解するのに時間はかからなかった。
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