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「おいっ!真面目に聞けって!」
腕を掴まれて海苔が変な風に破れるのが見えてその腕を振り払う。
「何が真面目にだ!アホらしい!」
「お前、わかってねぇだろ!」
「はぁ?どうせまた女にフラれたとかだろ!?いちいち騒ぐなよ。飯くらいゆっくり好きに食わせろって」
イスに深く腰を下ろして包装を丁寧に剥がしてやっと少し破れてはいるがちゃんとしたおにぎりを完成させた。
「……なら見て来いよ」
睨むような孝順の目にまたイラッとする。
「今日はこの後まだ二コマあって、その後すぐバイトだからそんな暇ねぇよ」
「マジで、祥介死ぬかもしんねぇんだぞ!」
気にせずおにぎりにかぶり付くと、孝順は立ち上がってバンッと勢いよくテーブルを叩いた。
好奇の目が寄せられて俺はとりあえず孝順を座らせる。
「大袈裟なこと言ってんなよ」
ポンポンとその肩を叩くと、孝順はギリッと歯を鳴らした。
よく考えたらいつも温厚な孝順がここまで言うのは珍しい。
だが、いつも合コンだデートだと言っている祥介のことだと思うと、俺はそこまで深刻に考えることはできなかった。
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