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大学の卒業式から帰り、袴姿で部屋の窓辺に立つ。
「ネオ、私、卒業できたよ。ネオのおかげ。ありがとう。」
目を閉じて窓辺に座るあの頃のネオと私を思い浮かべてつぶやく。
「俺は何もしてない。メイの努力の結果だよ。」
そんな声が聞こえた気がした。確かにネオならそんな風に言ってくれそうだ。
───え、でも今のって・・・。
ふいに人の気配を感じて振り向くとそこにはおしゃれなスーツを身にまとい花束を持ったネオがいた。
「メイ、卒業おめでとう。」
「!?・・・ネオッ!?」
「そばにいられなくてごめん。でもずっと応援してた。」
「気づいてた、気づいてたよ、あの歌詞・・・。」
復帰後にネオが出したアルバムのシークレットトラック。配信はされていないその曲『窓辺の君』が私に当てて書いてくれたものだということはすぐにわかった。
無理矢理元気付けるわけでもない、綺麗事を歌ったわけでもない、けれども暗くない、豆電球で優しく照らされているようなそんな曲だった。それはあの窓辺での日々そのものだった。
ネオが灯してくれた豆電球。私はその小さな光を少しずつ大きな光にしていけたのだ。
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