砂糖と空気と小魚。

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「やはり肉体という不自由な媒体がなければ人間という媒体の再現は不可能ではないか」 「不自由さは発展の妨げになるだけではないのでしょうか。それであれば不自由さを削除すれば、人間にとってより有益なのではないでしょうか」 「それでも、人間というのは肉体の保有を必須のものと考えるらしい。そう考えれば、人間の意志というものはそもそも人間にとってマイナスの情報なのかもしれないな」  結局のところ、人間というものは有機物をベースとした存在であるのだろう。そこで2人は今度は有機体を培養することにした。  2人は人間が生存可能なほどのケースを作り出すことはできなかったが、ユフ毒の汚染を軽減し、原始生物のようなものであればなんとか生存が可能な程度のケースなら作れるようになっていた。  流石に2人とも無為に千年を過ごしたわけではないのだ。 「イヴ、まずら最も簡単な有機生命体を作ろう」 「ええ。人間の当てはめる最も根本的な生命とは、代謝系を有し、細胞を有し、自己複製が可能なものです」 「つまりアミノ酸、核酸、脂質等有機物の化合物だ」 「アミノ酸は炭素、水素、酸素、窒素、硫黄。核酸は塩基と糖、リン酸。脂質はビタミン。つまり糖類と大気と光からの合成にいくつかの基礎物質が必要です」 「DNAを格納する核を形成するためにカルシウムも必要だろう」  そうして2人の前に、薄まったユフの中でも活動可能な1つの細胞、初めての有機物が生まれた。そうしてぷちりと2つに分かれた。  この細胞が進化を繰り返し、ようやく人間のDNAを乗せられるようになるの遥か先の未来である。 了 反省 途中で生命、有機生命体、人の条件で考え込んで必要な元素がわからなくなったので止まっていました。結局諦めて適当にぶん投げたので、生物学的には恐ろしく適当なことを言っています。陳謝。  
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