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「とうとう、ここまで来たわね……」
ドキドキと高まる鼓動とは裏腹に、勇者カサンドラは何気ない口調で呟いた。仲間の三人も無言で頷いている。
女性ばかりで構成された四人組のパーティーだ。彼女たちが足を踏み入れたのは、青く透き通った宮殿だった。
コツコツと硬質な足音が響く床は、全て水晶で構成されている。壁や天井も同じ材質であり、鏡とは異なる反射の仕方で、見る者の姿を映し出していた。
仲間の顔を見回せば、恐れの色が浮かんでいる。それを払拭するために、カサンドラは大声で叫んだ。
「さあ、ラストダンジョンよ! もうすぐ、世界に平和が蘇るわ!」
その透明感に相応しく、かつては『水晶宮』と呼ばれていた建物だが、今では禍々しい別名を与えられていた。
通称『魔王城』である。
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