二人だけの秘密

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大人の世界に足を突っ込んだ結果から言うと、大人の世界は私達にはまだまだ早すぎた。 「お姉さん達可愛いね! お金に困ってるなら、うちの店で働かない?」 「お姉ちゃん達いくつ? 奢るからさ、今から飲みに行かない?」 「お姉さん達は素人なの? パパを探してるなら、これから3万でどう?」 なんて事を言ってくる輩ばかりだった。 私だって人間だから、異性にモテたらそれは気分がいいだろうとは思う。 でも、こういうモテかただけは絶対に嫌だ。 それに、大人の世界は臭かった。 どこへ行っても生ゴミの匂いがするし、話しかけてくる人達は、かなり酒臭かった。 そんな大人の世界にはすぐに別れを告げ、私達はなんとか大人エリアの外に出ることに成功した。 しかし、そもそも街の奥に入りすぎてしまったのか、私達は自分達がどこに居るのか分からなくなってしまっていた。 すると、夏美がバッグからスマホを取り出し、再び大人エリアに入らないようなルートで、地図アプリを開いて駅までの経路を確認している。 そうして私は夏美先導のもと、薄暗い裏路地を駅へと歩き始めた。 今歩いている道から路地を一本入れば、再びネオンが輝く華やかな大人エリアだが、今私達が歩いているのは、切れかかった街灯が道路を照らす、薄暗い道だ。 これぞ正しく光と闇! そんな事を考えながら、私は夏美から離れないように、彼女の後ろを付いて歩く。 薄暗い裏路地を少し歩いた所で、何かが倒れるような音がしたのに気付いた私達は、ビクッと体を震わせる。 「なんの音だろう?」 私が不安そうに夏美に問いかけると、夏美は意を決して音のした方に歩き出した。 「ちょっと夏美! 闇雲に近寄ったら危ないよ!」 私は小声で、しかし力強く夏美を静止した。 しかし……… 「こんな人気の無い所で何かが倒れた音がしたんだよ? もし急性アルコール中毒になった人が倒れてたら、助けなきゃ。私これでも看護師の卵なんだから」 怖いならそこで待っていればいいからと言い残し、夏美は音がした方へと歩いて行く。 確かに、夏美の言う事にも一理ある。 気がつくと私も、夏美の背中を追って歩き出していた。
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