二人だけの秘密

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そうは言っても、私達二人が普段通りに顔を出した時には、研修先の指導員さんや仲間の研修生などからは、目を丸くして驚かれた。 しかし、もう病院に来てしまった以上、私達は私達なりの事情を伝えて、研修に参加していいものかと指導員さんに確認すると、そう言う事ならと研修への参加を快諾して頂いた。 中には私達の姿勢を健気だと感極まる方までいらっしゃって、逆にこちらが元気をもらってしまったぐらいなのだが。 まあそれは兎も角、研修に参加出来る事になったからには、私達は今日の研修に全力で参加しなければならない。 私も夏美も、昨日の事で周りに気を使わせるような事はあってはならないと、いつも以上に明るく振る舞ってみせたものだった。 その日の研修を無事に終た後に関しては、冒頭の展開通りである。 しかし、いざ面と向かって話すとなると、お互いに何を言って良いかも分からず、二人の間にはしばらくの沈黙が続いた。 そして、ようやく私が夏美に話しかけようとした時、私の話を遮るかのように、夏美のスマートフォンが鳴った。 「あ、もしもし美紀? え? 今駅前のカフェだよ?」 電話の相手は、どうやら同級生の山本美紀のようだった。 会話を終え、電話を切った夏美が、美紀がこちらに向かっているらしい事を私に告げる。 夏美に声をかけそびれてしまった私達の間には、またしばらくの沈黙が続いたのだが、その後私達のもとにやって来た美紀によって、私達の長い沈黙は再び破られる。 美紀も最初は気を使って話しにくそうにしていたが、私達は美紀に昨日の事を聞かれる度に、ありのままの情報を彼女に伝えてやった。 別に悪い事をしたわけでもないのに、隠したり話さなかったりするつもりもなかったからだ。 やがて美紀を交えて話は弾んでいき、先程まで沈黙していたのが嘘のように、夏美ともすっかり普通に話せていた。 夏美はどうやら、昨日の事に罪悪感を感じていたようだ。 あの時私の言う通りにしておけば、私の言うように慎重に行動しておけば、今回の事は回避出来たかもしれない事案であったと。 自分の強引な行動のせいで、私まで危険な目に合わせてしまった事を、酷く後悔したと私に伝えてきた。 しかし面と向かうと中々言い出すことが出来ず、申し訳ない事をしてしまったと、泣きながら私に謝罪をしてくれたのだった。
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