二人だけの秘密

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そんな事は気にしていないし、夏美の言うように、あの場に急性アルコール中毒の人が倒れていたとしたら、私のほうがよっぽど後悔していたのだからと、夏美の行動にはなんの非もないんだと彼女に伝え、最後にはお互いに泣きながら肩を寄せ合っていた。 そうやって夏美と和解した頃になると、私達はすっかり美紀の存在を忘れてしまっていたのだが、美紀が二人に渡さなければならない物があると言ってきたので、私達は改めて美紀の方に向き直った。 すると、美紀は愛用のリュックサックの中から一枚の封筒を私達に差し出した。 「病院から帰ろうとした時、とても綺麗な外人のお姉さんに呼び止められてね。エレナさんて言う方だったんだけど、この手紙をあなた達二人のどちらかに渡してほしいって頼まれたんだ。凄く感じのいい人だったから、いいですよって受け取っちゃったんだけど、受け取っちゃったから責任を持って渡しに来たの」 美紀の申し出に、私達二人は顔を見合わせた。 エレナなんて外人、二人とも知らない。 だが、その外人に心当たりが無いわけでもない。 「あぁそうなんだ! わざわざありがとうね!」 夏美がそう言って美紀からの手紙を受け取る。 「じゃあ、渡したからね! 私はもう行くよ」 夏美が手紙を受け取ったのを確認すると、美紀は自分が注文していたコーラを一気に飲み干し、喫茶店から出ていった。 エレナ。 改めてお互いにそのような外国人の知り合いが居ないことを確認すると、私達の意見は、昨日私達を襲った者の一味だろうと言うことで一致した。 私は封筒を持つ夏美の顔をじっと見て、その封筒を開封する事を決心した。 夏美が手で封筒の先端を破いて行く。 端から端まで破りきり、封筒の中身を取り出すと、中からは一枚の手紙と、見たことのない紙切れが2枚ほど出てきた。 私達は、まず手紙の内容を確認する事にした。 折りたたまれていた手紙を、私がゆっくり開封する。 すると、それは思いがけない内容の手紙だった。
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