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七泊八日
「ご利用泊数はいかがなさいますか?」
「七泊八日で」
店員さんの問いかけに、私は迷いなくこたえる。隣のレジでは、彼が別の店員さんと同じやり取りをしている。
金曜の夜。馴染みのレンタルDVDショップで、互いがお薦めした旧作の映画を七泊八日で借りる。それが私たち二人の不文律だった。
彼とは大学の同期だった。数ヶ月前、偶然の再会を果たした。毎週、示し合わせたかのように顔を合わせていく内に、こんな事を繰り返すようになった。
ただ、それだけの関係。頭の片隅に、恋の予感がチラつかない訳では無い。だけど私は、自分が想像する以上に省エネな人間になってしまっていた。
なにせ、恋愛という行為は燃費が悪い。コスパが悪い。健康に悪い。
30代に差し掛かってからは、そう自分に言い聞かせて、新しい恋から逃げ続けていた。
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