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プロローグ
暗転した客席。舞台だけが、光に溢れている。いつも校長先生が眠くなる話をしている台と同じ場所だとは、とても思えない。コメディータッチに進むストーリーに、目が惹きつけられて離れない。少し年上なだけの彼らは、どうしてあんなにも輝いているのか。
ふと、役者の1人に瞳が吸い寄せられた。その少年は、主人公格の青年の後輩役。細身で小柄な身体。少し長めに伸ばした黒髪が、揺れる度に光が踊る。
ラブストーリーはギャグを交えて進む。主人公の青年は、転びかけたヒロインの少女を慌てて受け止める。見つめ合う2人。
甘い空気が流れる中、彼だけが。内臓を引き裂かれているかのような、生きながら溺れているかのような。そんな、この世の痛みを一身に受けているかのような瞳で、青年を見つめていて。
ああ、この人はもう二度と、その感覚を覚える前には戻れないような恋をしている。
そう一目で感じさせるほどの、性別を越えた激情と苦しみを、その身体に宿していた。
結ばれた2人を祝福する音楽に溢れた舞台で。
彼だけが、立ち尽くしていた。
舞台が、暗転する。
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