第7話

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第7話

『今日、大丈夫でしたか?わたしは気にしてません!』 ああもう、全然ダメ。LIMEに打ち込んだ文章を、ぱぱぱっと消去した。はぁ、とため息を吐いて、腕をベッドに落とす。薄い桃色のベッドシーツに包まれたマットレスが、わたしの腕をぼふりと反発した。 家に着いて部屋着に着替えて、美晴先輩に送る文章を考え始めて30分。ぐるぐるぐるぐる考えたけど、先輩にどう言葉を送ればいいのか、ちっとも分からない。 大丈夫でしたか?…大丈夫なわけない。 気にしてません!…嘘。すごく気になってる。 どんな文章を送っても、ただの薄っぺらい社交辞令か、嘘っぱちになってしまいそうで。わたしのこの、ぐちゃぐちゃで真剣な想いは、きっと届かない。 …美晴先輩にだけは、どうしても嫌われたくないよ。 そう思ってる自分に、はっとした。 ただ、王子様みたいにかっこよかったから、好きになっただけのはずなのに。見た目で人を好きになって。そんな幻想、もちろんすぐに粉々にされる。今まで、ずっとそうだった。それなのに。美晴先輩は、わたしを拒絶したのに。というかそれ以前に、女の子なのに。 ……こんなに好きになってるよ、わたし。 頬が熱かった。周囲に誰もいないのに、恥ずかしくて仕方なくて、毛布を乱してうわーって暴れる。なんで、こんなに彼女に夢中なの?まだ出会って2日目のはず。なのに、気になって気になって仕方ない。美晴先輩が何か苦しんでるのなら、がむしゃらに飛びついてでも、どうにかしてあげたい。 そんなふうに思ってる自分にまた、愕然とした。 とにかく、うじうじ悩んでても仕方ない!何でもいいから、LIMEしないと! ぽぽぽ、ぽぽぽと、何回も打っては消してを繰り返し。結局わたしは、その夜はどうしても彼女にLIMEすることが出来なかった。
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