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第4話 あなたの笑顔
「え、えっと…?」
困った顔で首を傾げるミハル先輩。ああ、そのお顔も綺麗…!あっ、そうじゃなくて!
「その、お、お友達からでいいので、お話したくって…!」
ああもう、どうにでもなれー!言葉を連ねると、ミハル先輩の頬がじわりと赤らんだ。
「いや、えっとその、友達になるのは構わないんだけど、」
「本当ですか?!!」
自分の声が高くなるのがわかる。
「じゃあ明日、一緒にお昼ご飯食べませんか?!!」
勢いのままにそう言ってから、青ざめた。断られたらどうしよう。ミハル先輩にだって都合があるはずなのに、それを無視して…。わたし、最悪だ…。
「あ、あの、ごめんなさい、ご迷惑でしたよね…」
そう呟くと、ミハル先輩は慌てたように首をふった。
「そ、そんなんじゃないよ!ちょっとびっくりしただけで…。明日のお昼だよね?うん、一緒に食べよう」
「あえ、本当ですか??!」
やったあ!やっぱり勢いって大事だよね!
きゃー、と言って飛び跳ねると、隣に立っていた凛先輩が、面白そうに話しかけてきた。
「話がまとまったとこでわるいんだど、LIME交換しておいたら?連絡とか、そのほうが便利だと思うよ」
「あ、それもそうだね。今スマホ持ってる?」
「はい!」
先輩とLIMEを交換していると、香子ちゃんがわたしの手をとってぐっと引っ張ってきた。
「菜々香、もういくわよ。すごく人が見てる。」
「え、本当?!!」
ぐるりと辺りを見渡すと、確かにこちらに視線が集まっていた。うわー、恥ずかし・・・!
「ミハル先輩、ありがとうございました!また明日!」
「え、ちょっと待って!名前!名前教えて!」
慌てたミハル先輩にそう叫ばれて、はて、と流れを思い返す。そう言えば、名前教えてなかったー!
「わたし!里 菜々香(さと ななか)です!」
「僕は時守 美晴(ときもり みはる)!またあとでLIMEするね!」
「はい!待ってます!」
わたしが香子ちゃんにずるずる引っ張られながら、そう叫び返すと、美晴先輩は可笑しそうに笑った。
舞台の上での完璧な笑顔も、切ない表情も、困った顔も、すっごく綺麗だったけれど。
美晴先輩のナチュラルな笑顔、天使すぎ・・・!
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