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二人でひとしきり笑った後、リュカが唐突に話を切り出した。
「ねぇ、冷華ちゃん。あの事故をなかったことにできるって言ったらどうしますか?」
「...どうやって?」
冷華は、その問いに問いを返す。リュカは、その問いには答えず、
「いえ、厳密に言えば、なかったことにできるんじゃなくて、冷華ちゃんがなかったことにするんです」
と、神妙な面持ちで言った。
(私が___ )
冷華は、本当に自分にそんな凄いことができるのか、と思う。しかし、そんな彼女の不安を払拭するようにリュカが、自身の胸の前でギュッと両手の拳を握った。
「大丈夫だよ、冷華ちゃん。僕も、ついて行くから」
頼もしいことを言うリュカだったが、冷華には気になる点が一つあった。
「...リュカ、ついてくるの?」
リュカが冷華についてくる...つまり、この天使は現世に一緒に来てくれるということだ。本当にそんなことができるのだろうか。そう先程と同じ疑問を持つ冷華。
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