第九章 「仲良し大作戦3 side奈々瀨」

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 吐き捨てるようにそれだけを返せば、茉紗は頬を膨らませた。だが、彼女がこれ以上奈々瀨に話しかけることはなく、振り返って冷華と稔に声をかけはじめた。 「あんまり十円ハゲを見つめるのも可哀想だし、二人とも帰ろ〜」 「......そうだね」 コクリ、と頷いて、歩き出した茉紗の後を、冷華がついて行く。稔は立ち止まったまま、何も言わなかった。はあ、とため息をついて、奈々瀨は彼女の方へ近づいた。 「おい、深瀬も一緒に帰れ。......えっと、その、なんだ...暗くなると危ないだろ」 「ナナくん、まだ夕方だけど〜」 「うっせ。お前は黙ってろ.......わかったか、深瀬。............おい?深瀬、お前、何を見てるんだ?」 覗き込んだ稔の表情は、奈々瀨を見ているようでいて、どこか遠くを見ているようでもあった。いつもより、ぼんやりとした印象が見受けられる彼女は、奈々瀨の言葉にすっと後ろを指差して、口を開いた。 「ねえ、ななちゃん?後ろにいるのは、だれ?」
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