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「ななちゃん、あれっ」
彼の者の行動に、大変、といった慌てようで奈々瀨の肩に手を置きながら、普段どおりの声量で指差す。
「おい、こっち見たらどうすんだよ...」
無駄だ、とは薄々感じていながら、声を抑えることを意識しつつ、後ろの稔を睨みつける。しかし、そんな奈々瀨の意図は残念ながら伝わらなかったようで、首を傾げてさも当然とばかりに答えた。
「えっ?そのときは、ななちゃんがどうにかしてくれるんでしょ?」
「......はあ」
やはり、どうにも調子が狂う。だが相手が稔ならば、それも悪くないような気もして、そんな自分にため息が出る。奈々瀨が稔を見れば、到底何も考えてはいなさそうな笑顔が返ってきた。
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