第九章 「仲良し大作戦3 side奈々瀨」

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(深瀬に視えているのは十中八九日輪だろう。そして、それが視えるということは、彼女はまだ悪感情に呑まれきっていない。つまり、どうにかして日輪を外に出すことができれば、後は核を失った木偶人形を消すだけってことだ)  目下の問題は、どのようにして日輪を助けるかだろう。見れば、黒き様相はこちらへ向かって手を伸ばしていた。 「深瀬、その女は一体どこに見える?」 「ええっと、真ん中よ。モヤモヤのちょうど真ん中のあたり!」 「りょーかい」 通常、核は人間のこぶし大くらいの大きさがほとんどだ、という話を屋敷の者たちから聞いたことがある。核が幼子のような姿をとることが多いのは霊に肉体を取られて、繊細な感情だけが表面に露呈してしまっているからなのだそうだ。  そんなことを思い出しながら、奈々瀨は駆け出した。真ん中ということは、狙うべきは胴体だろう。見た限り、あの原理のわからない衝撃波は彼の者の手から発されていたように思う。ならば、自身が狙うべきは___。
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