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「お前今、カオナシみたいになってっぞ」
「……さぶい。元春は寒くないの」
「別に、ふつう」
「……みくるもそっち行く」
ずるずると床に毛布がついてんのに構わず近づいてくる。それ俺の毛布なんだけど、と思わないでもいたが、何も言わないでいればみらいがちょこんと隣に収まった。
「……今日は煙草吸ってること怒んないんだな」
「だってここは元春のおうちだし。主がやることにみくるは口出さないよ。みくるはみくるんちで煙草吸われることがいやなの」
「……ふうん」
言いつつ、煙草を灰皿に押し付ければ、それを見たみらいが「吸ってていいのに」と口を尖らせてくる。なんとなくその頬をぎゅっと潰しながら、「ふくりゅーえんは体に悪いらしいよ」とむぎゅむぎゅしながら馬鹿にするように言う。
「……なんか、今日元春変なの 」
「変?」
「なんか、ちょっと、優しいよ、変なの」
「……、お前さぁ、」
みらいの頬を持ちながら、その星を閉じ込めたように煌めく瞳を眩しく思う。らしくない言葉を今から言おうとしている。口に出せば、案の定みらいの目が丸くなった。
「アイドルやめたいとか思ったことないの?」
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