ルール4:ファンの質=アーティストの人間性

15/18
前へ
/167ページ
次へ
「お前今、カオナシみたいになってっぞ」 「……さぶい。元春は寒くないの」 「別に、ふつう」 「……みくるもそっち行く」 ずるずると床に毛布がついてんのに構わず近づいてくる。それ俺の毛布なんだけど、と思わないでもいたが、何も言わないでいればみらいがちょこんと隣に収まった。 「……今日は煙草吸ってること怒んないんだな」 「だってここは元春のおうちだし。主がやることにみくるは口出さないよ。みくるはみくるんちで煙草吸われることがいやなの」 「……ふうん」 言いつつ、煙草を灰皿に押し付ければ、それを見たみらいが「吸ってていいのに」と口を尖らせてくる。なんとなくその頬をぎゅっと潰しながら、「ふくりゅーえんは体に悪いらしいよ」とむぎゅむぎゅしながら馬鹿にするように言う。 「……なんか、今日元春変なの 」 「変?」 「なんか、ちょっと、優しいよ、変なの」 「……、お前さぁ、」 みらいの頬を持ちながら、その星を閉じ込めたように煌めく瞳を眩しく思う。らしくない言葉を今から言おうとしている。口に出せば、案の定みらいの目が丸くなった。 「アイドルやめたいとか思ったことないの?」
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

173人が本棚に入れています
本棚に追加