ルール4:ファンの質=アーティストの人間性

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「……俺は、アイドルじゃない枢木 みくるには興味無いけどな」 だから傷つけると分かっていても、酷い言葉を口にした。みらいの綺麗な顔が少し歪むから、思わず目を逸らす。 俺ごときで迷うなと、こんなお前のこと蔑ろにする男の前で、隙だらけの言葉を口にするなよ。お前を推してるオタク達が悲しむぞ、なんて。色々言葉が巡ったけど、結局何も言わなかった。消してしまった煙草が目に入って少し後悔する。 「……もとはる」 「……なに」 「やっぱり、今日、優しいじゃん?」 「……」 「いつもはみくるのことなんて何も考えてくれないくせに、こういう突き放す時だけ大事にしてくんの、」 俺はみらいが泣いてるところを見たことがない。それこそセックスの最中に零す生理的な涙以外で、こいつの泣いてる姿をただの1度も見たことがない。 悲しみを心に押し込めて、みらいは晴れやかな、完璧に美しい笑顔を浮かべた。 「ほんと、そーいうとこなんだよなぁ! だからずっと、推し変できないの!」 ぎゅっと抱きついてくるみらいを、抱き締め返さない理由がどうにも思いつかなくて、暖かな温もりを腕の中に閉じ込める。 「……そういうとこってどういうとこだよ」 「言わなーい、言ったら魅力半減するし」 「……みらい」 「ん?」 「アイドルでいるうちは、誰か好きになったりもしねーんだろ?」 「……、それこそ特大ブーメランなんだけど」
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