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無虚と出会い
シャワーを浴び、着た時と同じ服を身にまとい、大地のマンションを後にした。
大地に初めて食事に誘われた時は嬉しかったのにな。
たまにバラエティやドラマ、歌番組で見る大地はいかにもな好青年で、イケメンで。
人見知りだとかってテレビの向こうで笑うあどけない笑顔もまた...。
高級なレストランで笑顔を交え、会話した後は超高級なマンションで。
凄いな、て思わず、感動すら覚えて。
初めて抱かれた時はダンスしてるだけあって、細いのに筋肉も付いていて、ホントいい体だなあ、て思った。
初めては、
「やっぱり可愛いね、MiUちゃん」
なんて、笑顔で言ってくれて、少し嬉しかった。
「....結局、みんな似たり寄ったり、てか」
てくてくと歩いていたら見知らぬ公園に差し掛かった。
深夜の公園、てなんだかちょっと怖いな、なんて思ったけど、なんとなく、公園に入り、ブランコに座った。
「....この服、褒めてもくれなかったや」
今日、一目惚れした服。
思わず、笑った。
「....バッカみたい私」
私とのセックスの最中に誰かとメッセージのやり取りだとか。
きっと、他の女の人だろう。
もしかしたら、本命、て奴なのかもしれない。
「こんな深夜になにやってるんですか?」
不意に、声を掛けられ、目線を上げた。
少し離れた先に立っていたのは、スーツ姿の30はいってはないかな、な、まあまあイケメンなサラリーマン。
「あー、いや、気分転換っていうか」
「女性一人で、危ないですよ、こんな深夜に。何かあったんですか?」
近づいてきたその優しく労るような眼差しに泣きそうになった。
「別に、なんでもないです。色々ありますよね、生きてると」
これが、私と湊の出会いだった。
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