ある最終回が描かれるまでの話

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 満月を見ていたら、急に世界が歪んだ気がした。  そこで夢は途切れた。けたたましく鳴り響くスマホのアラームとともに豊嶋一真は目を覚ました。頭が重い。もっと眠っていたい。そんな衝動に駆られながらも、一真はスマホのアラームを止めた。  何か、重要な約束があった気がする、そんなことを思いながら半分も開いていない目でスマホのディスプレイを見ると、 「藤平と打ち合わせ」  と表示されていた。ああ、最終回の打ち合わせをしなければいけないのか、早く終わらせないとな、そんなことを思いながら豊嶋はゆっくりと身を起こした。  時刻は朝の10時。カーテンの向こうからは明るい陽射しが差し込んでいた。
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