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小学生連れの大西先生も同じだ。
俺はこの寒さの中、走る気になっていた。
なんだろう?
走る前からアドレナリンが出ている感じだ。
走り出してすぐ気づいた。
美由紀先生のフォームは、とても綺麗だ。
体の重さを感じさせない、無駄のない走り。
“まっすぐ”という言葉が浮かぶ、そんな走り方だった。
男の俺と走るペースがピッタリあっている。速いな。
寒いのは苦手だけど、彼女を目の端で捉えながら走っていると、全く寒さを感じなかった。
どこか、浮き足立つような気持ち。
久しぶりに感じる高揚感だ。
2周を一気に走りきって元の場所に戻ったが、まだ誰も戻って来てはいなかった。
「乾先生、速いんですね」
「それはこっちのセリフ。
美由紀先生、めちゃくちゃ速いよね?
走ってたの?」
「陸部でした。中距離です」
なるほど。それでか…。
「まだ走る?」
ショートカットなら行けなくはない。
「いえ、今日はもう……」
あれ? 体調が悪そうには思えなかったけど…
「お腹が空きすぎて、力が出ません。」
「フッ……アンパンマンかよ」
「あら、それならお顔の汚れですよ」
「そうだっけ?」
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