ランサークル

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目線で訴えてみるが、淳之介はニヤニヤ笑ったままだ。 「それよりお前こそ、一言も言わなかったじゃないか。ランサークルに入ってたなんて」 「いや……だって……公親先生がランに興味あるなんて知らなかったんですよ。 それにこのランサークル、純粋に走りたい人しか誘わないって、暗黙のルールがあって。無闇に誘えないんですよ」 なんだそれ? 大袈裟だな。 「参加者がちょっと…… まあ、公親先生ならなんの問題もないんだったな」 どういう意味だ。 「高等部は大西先生のとこと、島先生。 中学部からは前田先生と秋吉先生と俺、あとは校…」 「お? 公親、お前も来たのか?」 「と、父さんっ!?」 まさかの父親登場。 実は俺の父親は中学の校長だったりする。 「あら、公親? あなた何してるの。寒いの苦手なのに。今日はいいお天気だったけど夜は寒いでしょ」 「母さんまで……」 驚愕だ…… たまたまフラッと参加したランサークルに、まさか両親がいるとは。 俺は大学卒業を機に実家は出ている。 だが父親が中学部の校長をしているため、実家に帰らなくても職場でしょっちゅう顔は合わせているのだ。
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