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ことわり
教室の窓から見える梅雨入り間際の空は、二本の飛行機雲が平行に伸びる晴天なり。
「おぉ~い、ハナ。タキを借してくれ」
そう言って私の席にやってきたのは、私の幼馴染であるタキ君の友人であるゴウ君だった。中学の時は背が低く、普通の少年だったけれど、高校生になってから急に背が伸びたせいか、ハンサムになった。
「タキ君ならここにいないよ」
「え~、どこいった?」
「さあ」
「なんだよあいつ、俺よりカッコいいくせに、俺に借りられろよ」
(ゴウ君……借りる理由がそれですか?)
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