ことわり

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 そこへパタパタとスリッパを鳴らしやってきたのは、担任のミキ先生だった。この学校の中では、生徒から一番人気の女性教師である。顔立ちが良く、人間性も良い。男女分け隔てなく好かれている先生だ。 「あっ、いたいた。ハナさん、タキ君をちょっと借りるわよ」 「タキ君ならいませんよ」 「なぬっ。肝心な時に、どこに行ったのよ、もう!」  ウェーブの掛かった長い髪を肩越しに払い、腕を組むミキ先生。 「ど、どこですかね……」 「ハナさんを一人残して消えるとは、けしからんな」 (はは、私は別に大丈夫ですけど……)
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加