二章

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奥の椅子に座ったことで振り返らずとも部屋の扉の様子を見ることができるが、警察署内でも比較的奥の部屋に通されたためか、外を通る人の足音どころか気配すら感じない。 部屋についた窓は換気のためか少しだけ開いており、そこから少しの音が入って来ていたことで無音の中に閉じ込められることはなかった。 とはいえ、することもなく、ただただ窓の上の壁に取り付けられている時計を眺めるしかなく、何分くらいで来るのかを自分の中で予想しながらゲーム感覚で待つことにした。 時計を眺め始めて2分半が過ぎたとき、扉の外からざわざわと話し声のようなものが聞こえて来て、それが一瞬止まった。 聞こえてきた声に釣られるように視線を時計から扉の方へ移す。 直後に2回ノックされ、外から「失礼します」と声が聞こえて、反射的に「はい!」と返事をすると扉が開いて3人の警察官がそれぞれファイルや紙袋を持って入ってきた。 3番目にいた若林さんが扉を閉めたとき、向かいに立つ警察官と座ってる自分が俯瞰的に見えてまるで自分が面接するかのような状況に焦ってとりあえず立ち上がる。
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