一章

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結局、2時過ぎまでは寝られずに苦手な家事をこなして冷蔵庫にストックしている缶ビールを取り出し、一気に煽る。 普段しない行動をとった上、少し空腹になっていたことも相まってか体内にアルコールが周り始める。次第に身体が熱っていくのすら心地よく感じ、寄り添ってくる眠気に意識を乗っ取られる。 徐々に脳も眠気に蝕まれていき、全身へ信号を送ることをやめていく。 横になった体が眠り、脳も眠りに落ち切る寸前に最後の力を振り絞ったように『明日何時に行くんだっけ』と自分に問いかけたが、その場でその答えは得られるわけもなかった。 目が覚め、外から入ってくる陽の光で脳が覚醒していく。 寝る前に自分に問いかけていた時間の問題は自分の意識にこびりついていて、携帯の画面を点けて確認をする。 「8時半か...9時半だな」 無意識に呟いて警察署までの時間の計算をする。 せっかくの土曜日なのでできれば二度寝をしてもう少し布団にくるまっていたかったが、嫁を迎えにいかなければならないので身体を起こそうとすると、自分の身体だというのにいつもよりも重く感じた。 あらかたの身支度を整えて時計に目をやると9時を回っていた。 当たり前だが嫁が帰ってきているはずもないので2人暮らしには少し手狭な2DKの部屋の中は昨日の夜と全く変わり映えしていなかった。
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