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「大丈夫か? ユキト? タイチ?」
「どうにか。でも、鞭打ちしたみたい。首が痛い」
「俺も。頭に血が上りそう」
俺たちは大きな怪我はなく、ひっくり返った車から無事に這いずり出た。
「こう言う時って警察? レッカーとか必要だよな」
スマホを取り出したが圏外になっていた。
「どーすんだよ、車をこのままにしておけないし。他の車が来たら大変だ」ユキトが頭を抱えた。
タイチはガードレールを背もたれに、地面に座り込んでいた。
「大丈夫か? どこか痛む?」俺が尋ねると、タイチは身を震わせながら顔を上げた。
「さっき、見たよな? 人が立ってた」
確かに人影を見た。しかし、辺りを見ても誰もいなかった。
「さっきのは……」と俺が言い掛けた矢先、ユキトが「なぁ、どーすりゃいい?」と言った。
少しのめまいを覚えつつ、俺は2人に言った。
「街まで助けを、呼びに行く。でも誰かここに残って、他の車が来たら、誘導した方がいい」
タイチが俺の意見を耳にすると遮る様に言った。「俺は残りたくない!」
ユキトが「元はと言えばお前がわがまま言うからだろ! 残りたくないなら、助けを呼びに行けよ!」
「ひ、1人で行けない!」
「何さっきら怯えてんだ?」
「今は言い合ってる場合じゃないだろ。落ち着いて。まずは落ち着こう」
話し合った結果、ユキトが残り、俺とタイチで街まで戻って助けを呼ぶ事になった。
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