壱「曲がり道」

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真っ暗な曲がり道を俺とタイチは進んだ。タイチは俺にくっついて離れなかった。 しばらく歩いていると俺の腕に手が回って力強く握りしめた。 俺はくっついて歩くタイチに言った。 「おい、離れろ」 「だって怖いんだよ」 「俺も怖い。でも離れてくれ」タイチに言うと俺の腕から手が離れた。 少し後ろに下がったタイチが怯えた声で言った。 「見たのか?」 「何を?」とタイチに聞き返した。 「……女の人」 「ああ。見た」 「あれって……」 「いやいやいや、まさか。俺たち心霊スポットとか、サークルでよく行ってたけど何も感じないし何も起きなかっただろ? 霊感とかもゼロじゃん? ありえないって」 「じゃあ、さっきのはどう説明するんだよ」 「気にし過ぎるな。見間違えだ」
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