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真っ暗な曲がり道を俺とタイチは進んだ。タイチは俺にくっついて離れなかった。
しばらく歩いていると俺の腕に手が回って力強く握りしめた。
俺はくっついて歩くタイチに言った。
「おい、離れろ」
「だって怖いんだよ」
「俺も怖い。でも離れてくれ」タイチに言うと俺の腕から手が離れた。
少し後ろに下がったタイチが怯えた声で言った。
「見たのか?」
「何を?」とタイチに聞き返した。
「……女の人」
「ああ。見た」
「あれって……」
「いやいやいや、まさか。俺たち心霊スポットとか、サークルでよく行ってたけど何も感じないし何も起きなかっただろ? 霊感とかもゼロじゃん? ありえないって」
「じゃあ、さっきのはどう説明するんだよ」
「気にし過ぎるな。見間違えだ」
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