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二人は笑顔でごゆっくりどうぞ、と襖を閉めて去って行く。すべてが流れるように優雅で上品な手つきや仕草ばかりでこれが日本女性の美だなぁと感心して見惚れるほどだ。
「すごい豪華だけど、大丈夫かな?」
心配になって和久井君を見つめたら、彼は嬉々として手元の器に卵を割り入れてお箸でかき混ぜている。
「遠慮しないで食べてよ」
そう言って、すげーな、これと牛肉を取り箸で摘まんで鍋の中に次々と入れた。
「野菜も入れよう」
「いいよ、俺、肉だけで」
「だめだよ、栄養偏るよ?」
「親みたい」
「悪かったね」
いつの間にか敬語がどっかにいってしまった私達は高級すき焼きをあっという間に平らげた。お肉はとても柔らかくて、舌に乗せたらすうっと消えてしまうぐらいにジューシーで噛み締めるたびに幸せが舌から身体に染み渡ってくるようでこんなに美味しいすき焼きを食べたのははじめてかも、と思う。
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