雨上がりの心に・・・

　彼女との楽しい思い出は、いつだって晴れだった。だけど彼女と別れた日、突然雨が降ってきた。乾いていた校庭に一瞬だけ土埃をたてて、たちまち地面を黒く染めていく、糸を引くような、細くて長い雨だった。

　雨は良い、頬を伝う涙を隠してくれるから。それに雨音は、シクシクと込み上げてくる泣き声だって消してくれる。
　ポツリポツリの雨音が、シーーと鳴り始め、サァーーからザァーーと言う耳障りな音になった時、僕達は別の方向へ歩き始めた。