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「ついでにって、それ思いっきり客引きやん! え~嫌やって~。第一、私になんのメリットもないやん」
握られた両手を振り払って、また机に突っ伏してごねると、おじいちゃんは眉間に皺を寄せて、顎に手をやった。
「むむっ、メリットか……。またえらい難しいこと言うな。この小賢しさは誰に似たんや、まったく……」
アンタに決まっとるやろ、と心の中でツッコんだ直後、「しゃあないな」という声が降ってきた。
私がのっそりと顔を上げると、おじいちゃんは腰に左手をやって、右手でピースサインを作った。
「お小遣い、いつもの二倍にしたる。どや?」
――二倍っていうことは、二千円や! つまり映画が二本見れる!
「やります!」
所詮、私はまだ幼気な中学生。あっさりと二千円の誘惑に負けて、敬礼ポーズをとったのだった。
――十分後
「あっつ~……。なんで、雑草取りと客引きで二千円やねん。やっぱ少ないわ」
境内にある御神木の下、私は小型除草機を手に早くも、ぶう垂れていた。
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