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◇ ◇ ◇
「成美ちゃん、お天気悪いけど大丈夫? よかったら私、お家に遊びに行こうか? ──まだ半年も経たないし、その」
「ううん、親もいるし平気よ。でもありがとう、嬉しい」
わざわざ電話を掛けて来てまで気遣ってくれる友人に、心からの感謝を告げる。
流石にはっきり口には出すことはないものの、彼女が『何』を心に浮かべているのかはよくわかっていた。
雨は、特別。
成美をよく知る皆が共有する事実だ。
両親も交互に部屋を覗きに来て、電話中の姿に安心したらしい。さり気なさを装いながらも緊張が隠し切れない二人の姿に、愛されていると実感する。
……あの直後は雨天のたびに取り乱して、親にも友人たちにも心配を掛けてしまい申し訳なかった。
不安定だったのは、今にして思えばほんのひと月足らずだったのだが。
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