神笑と神笑の不思議な話

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神笑と神笑の不思議な話

神笑と神笑の不思議な話 1 「ガーハハハッ!」 「アーハハハッ!」 「笑いすぎてお腹がねじまがりそうだー!」 「っんだ!」 ある日、山のふもとに、 福笑(ふくわらい)という名前の若者が住んでいました。 福笑は、生まれた時からどこへ行っても泣かず、笑ってばかりいたので福がやってきそうだなと沢山の人に福笑(ふくわらい)と名付けられました。 福笑には、仲の良い神笑(かみわらい)という親友がいました。 神笑は、福笑の家の隣に住んでいて、 いつも二人は、大笑いしながら話をします。 目はへの字になり、口は大きく開けていて、鳥のふんでも落ちそうなくらいです。 2 実は、二人の住んでいる町には、昔から不思議ないい伝えがあるのです。 二人の住んでいる家の後ろの山奥の方に、ふしぎな家がありました。 この家には、なんらかの呪文がかかっていて、 人間の目では見えないというのです。 その昔、その家を確かめるために、山奥に入っていった十人組の男たちがいて、男たち十人全て、二度と帰らなかったという恐ろしい噂がありました。 福笑と神笑は、そのうわさを確かめるために、山奥に向かうため、山に登ることにしました。 神笑と福笑は、長旅になるかと思い、それぞれ梅干しのおにぎりを四つずつこしらえていきました。 3 二人は、あまり人気のない山だから、誰も登って来ないだろうと思っていました。 しかし、いざ、山に入ってみると、誰かが先に登ったかのような進みやすい道ができていたのです。 それは、本当は、山の中の森に住んでいる魔女が、二人を呼び招いているのでした。 4 そんなことも知らない二人は、 しばらく登って進んでみると、 切り株が何個かあって、座って休めるくらいの開けたところに着きました。 二人はそこで、それぞれおにぎりを二個食べました。 そのすぐ近くに、美味しそうな新鮮な水が湧き出ていたので手ですくって、ゴクリッゴクリッと飲みました。 その水は、とっても新鮮で美味しかったので持っていた竹筒に入れて持って歩くことにしました。 5 さあ、また登ろうとした時、 年老いたおばあさんが登ってきました。 そのおばあさんは、唸りながら、 「うー。お腹が空いただー。お腹が空いただー。」と言っています。 二人は、それはそうだろう。山を登ってきたんだからなと思い、それぞれおにぎりを一つずつあげました。 おばあさんは、おにぎりを夢中で食べました。 するとおばあさんは、二人に「のどがかわいただー。のどがかわいただー。」と唸りました。 そこで福笑が竹筒の水をあげました。 おばあさんは、水を飲み終えると「ありがとう。ありがとう。」とだけ言い、山を降りて行きました。 6 2人は、また山を登り先を急ぎました。 道はだんだんと険しくなってきて、 しばらく歩いていくと、やっと開けたところに着きました。 そこには、3寸ばかりの小人が十人たおれていました。 福笑と神笑が、どうしたのかと尋ねると。 小人たちは、声をかけられるのを待っていたかのように、いきなり飛び起きて。1人ずつ自分のことをいいはじめました。 赤い木の帽子をかぶった小人は 「おれは、パプロ」 黄色い木の帽子をかぶった小人は 「ぼくは、ピプロ」 青い木の帽子をかぶった小人は 「私は、ププロ」 緑色の木の帽子をかぶった小人は 「わいは、ペプロ」 オレンジ色木の帽子をかぶった小人は「おれっちは、ポプロ」 むらさき色の木の帽子をかぶった小人は「わらわは、ムプロ」 ピンク色の木の帽子をかぶった小人は「あたちは、カプロ」 黄緑色の木の帽子をかぶった小人は「おいらは、キプロ」 茶色の木の帽子をかぶった小人は 「わしゃは、チャプロ」 黒い木の帽子をかぶった小人は 「おれ様は、クプロ」と言いました。 そして 黄色い木の帽子をかぶった小人ピプロが、言いました。 「実は、ぼくたちは、お腹が空いているのです。」 福笑は、大きく笑いながら、おにぎりを一つあげました。 小人たちは、一つのおにぎりを十人で分けて食べました。 小人たちは、「ありがとう。ありがとう。」と、嬉しそうに言いました。 7 おにぎりを食べ終わると 今度は赤い木の帽子をかぶった小人パプロが言いました。 「そうだ、おまえたちに昔話をしてあげよう。」 そう言って続けました。「昔な、おまえたちのように山の家に興味をもった十人の男たちが山登りをしていてな。」 その時、福笑は、山に登ったきり帰ってこなかった男たちだと思いました。 「途中でおにぎりを食べていると、年老いたおばあさんがきてな、お腹が空いただーお腹が空いただー。と言ってきたんだな。君たち二人は、笑いながらおにぎりをあげていただろうが、十人の男たちは、そのおばあさんを放っておいて先に進んでしまったんだな。 8 「そして、しばらく歩いていてな、また、休もうとしたらな、今度は三人の小人がたおれていたんだよ。しかし十人の男たちは皆、小人を蹴飛ばして、どかしてしまったんだな。すると小人たちは怒って、水色の薬を男たちにかけたんだよ。すると十人の男たちは、小さくなっていき、小人になってしまったのさ。」 9 「十人の男たちは皆、小人になってしまい家に帰れなくなてしまったと言って、どうしょうもなく泣いていたんだ。すると、年老いたおばあさんがやってきてこう言ったんだ。君たち少しは反省したようじゃな。元の姿に戻りたかったら、まだまだこれからも反省するのじゃよ、と。だから、ぼくたち十人の小人は反省をして、修行を積まなくちゃいけないのさ。」 小人の話は終わりました。 10 話が終わると、小人はなにやら赤色の液体が入ったビンをとりだしました。 「この赤の液体は、山の頂上にある家が見えるようになる薬なんだよ。きみたちは、明るく楽しさを持っているようだから分けてあげるよ。」 「あと、山を登っている途中に3つ目の開けたところに人を食べるというおそろしい植物があるから、そいつにこの赤の液体をかけるといいよ。」と教えてくれました。 11 二人はまた山登りをはじめました。 しばらく登っていると、 小人の言ったとおり、三つ目の開けたところで、大きな口があってツルが地面から生えていて、ツルの先に小さな目玉が付いているおそろい人食い花がいました。 人食い花は、人間の匂いを嗅ぎつけたのか、二人に近づいてきました。 いつもは笑っている神笑ですが、びっくりして、地面にひざまづいてしまいました。 12 福笑も、びっくりしましたが、神笑が危ないと察して、恐ろしさを耐え忍び、ひざがガクガク震えながらも、一気に小人からもらった魔法の赤の薬を、降りかけました。 そうすると、その植物は石のように固まってしまい、そのまま崩れていき、砂になってあとかたもなくなりました。 福笑と神笑は、お互いに顔を見合わせて、 「ガーハハハッ!」 「アーハハハッ!」 「笑いすぎてお腹がねじまがりそうだー!」 「っんだ!」 やっぱり、大笑いしました。 13 どんどん、先に行くと、また開けているところがありました。しかしここは何もないので、不自然さを感じます。福笑は、ここに見えなくなっている家があると思って。 福笑と神笑は、一緒に小人からもらった 魔法のピンクの薬を飲みました。 すると身体中から瞬く間に、黄色い光があふれだしました。二人は、光が眩しくて、への字の目を、さらに、への字にさせています。 14 しばらくして、誰かの話し声がして、目をうっすらと開けました。 目の前に、きれいな光り輝く宝石やら金やらでできた大きな家がありました。 福笑と神笑は、宝石やら金やらが太陽に当たってきらきらしている家に、見とれていました。 15 すると、黄金でできたドアが開きました。 中から出てきたのは、最初におにぎりをあげた、年老いたおばあさんでした。 おばあさんは、 「おや、おや、うまそうな若者じゃないかい。ハッハッハッ。うそじゃよ。びっくりしただろう。一度言ってみたかったんだよ。 あそびに来てくれてありがとう。あそびにきてくれてありがとう。」と言って、光り輝く大きな家に、二人を招き入れようとしています。 「そうだ。言っておきたいことがある。その前にこの姿じゃ悪そうなおばあさんに見えて、話を聞いてくれそうにないから、若い娘の姿になるか。」と言って魔法の言葉を唱えました。「ポポッラ、ププッラ、ピピッラ、プププのポッ」すると年老いたおばあさんは、ピンク色のけむりに包まれました。 16 そして、ピンク色のけむりがなくなると、 おばあさんは、若い娘になりました。 神笑が、みとれていると若い娘は言いました。 「なに‼︎そんなにみとれるほどキレイかしらわたし。ウフフ」 福笑は、はっと気づき思い出しました。 なんと若い娘は、迷子になって帰ってきていない自分の姉だということに気がつきました。 福笑いの姉は言いました。 「思い出したんだね。私は愛笑(あいわらい)だよ。」 17 「あんたたちは覚えていないと思うけど。福笑と神笑は、双子だったのよ。」 福笑と神笑は驚いて顔を見合わせました。 「五つの時、神笑は、川で遊んでたときに流れが急になり、足を滑らして川に流されたの。神笑は、誰もがもう帰らないかと思っていたわ。」 神笑は記憶になく、首をかしげた。 「でもね、遠くの川で魚を獲っていた大人たちに助けられていたのね。」 愛笑は、目を見開いて話をしている。 「私は、神笑の無事を祈って、遠くの川の方まで行ったわ。そうしたら、神笑が生きていたのよ。 でも、神笑は、記憶を全て失っていたわ。神笑は、助けてくれた男を父親と思ったため、その男に育てられて無事に大きくなってね。やっぱり双子ね、うふふ。いつの間にかお隣さん同士で暮らしていたのね。」 18 納得した二人は、愛笑について聞いた。 「わたしについて聞きたいの。 しょうがないわね。」 愛笑は恥ずかしそうに話し始めました。 「わたしは15才の時からここで10人の小人と暮らしているの。わたしたちは、魔法の力が目覚めるため修行をしなければいけないの。そのため、人に迷惑がかからないように人間のこない山の上で過ごさないといけないのよ。魔法と言っても、私は悪い魔法ではないから安心してね。あのね。実は私、今、火の魔法の練習中なのよ。」 19 すると10人の小人が入ってきた。 「神笑、福笑、二人ともよく来れたね。」と、黄色い木の帽子の小人ピプロは言いました。 思い出したように愛笑は、小人たちに言いました。 「あなたたち、二人に渡したいものがあったんじゃないの。」 小人たちには、思い出したかのように、奥の部屋に行き金色の大きな箱を十人で持って戻ってきた。 小人たちが、この箱を開けると中に魔法使いのとんがり帽、魔法使いの杖とステッキ、とマントが二つずつ入っていた。 小人たちは声をそろえて言いました。「君たちも魔法使いだよ。さあ、これはぼくたちのプレゼントだよ。」 赤の小人が言います。 「おれがあげた、あの赤の薬で人食い植物をたおしたのがその証だ。あの赤の薬は、水を赤で染めただけの水だったんだよ。しかし君たち二人は、君たちの魔法で、ただの赤の水を、人食い植物を倒す薬に変化させたんだよ。」 ピンクの小人も言います。 「あなたたち二人は、魔法の薬をつくる魔法使いだわね。あなたたち二人が、私たちのお手伝いをしてくれたら、みんなが助かるのよ。」 茶色い小人も続けます。 「ここは山の魔法の薬屋さんなんだよ。 毎日小人たちがたくさん集まるのさ。 他の国からの魔法使いもちょくちょく来るんだ。 耳の長いエルフや背の低い緑色のドワーフも来るよ。」 20 するとキッキ、キッキと、声がした 愛笑は、「あ!キラタトンが来たわ。 わからないわよね。 紹介するわ。妖精のキラタトンよ。 キラタトンは、何にでも姿を変えられるの。」 妖精キラタトンは言いました。 「お兄さん二人。やさしい。 わたし知ってる。年老いたおばあさん。ヘンテコな小人。助ける。優しい。大好き。」妖精キタラトンは、光ながらヒラヒラと舞うように飛んでいます。 21 福笑と神笑の二人は、キラタトンと小人たちと愛笑の家で魔法の勉強をしたり、薬を作ったりしています。困っている者がいたら、薬をあげたりもしていました。 二人は、ドワーフやエルフにも驚かず、むしろ優しくしていました。 やがて、福笑と神笑の二人の評判は、魔法の世界や精霊たちに広まっていきました。 何年か過ぎて、山には、四つの家が建っていました。 一つ目の家は、 愛笑の家です。愛笑とオオカミ男のシンリンと、子どものヒョウとカイとリンで仲良く暮らしています。 二つ目の家は、福笑の家です。店によく来るエルフのリュシャーナと子どものシャーナ、どこからきたのか迷子のドワーフと暮らしています。 三つ目の家は、神笑の家です。魔法使いのリューナと、子どものソーラと仲良く暮らしています。 四つ目の家は、小人たち十人の家です。小人たち十人がみんな、お嫁さんを連れてきたので、合わせて二十人の小人たちで暮らしています。 あの二人をのぞいでみると、 福笑と神笑の二人は、いろいろな魔法の薬を作っていて、たくさんの魔法が使えるようになっていました。 22 ある日、二人が魔法の練習をしていると大きな地震が起きました。 大きな地震がおさまると、次は、空が真っ暗になりました。 福笑と神笑の二人が驚いていると。 山の真ん中に穴があき、中から塔が空に向かって伸びて飛び出してきました。 22-2 飛び出してきた塔から鼻が長く、背の高い魔女のミノルダが出てきました。 22-3 魔女ミノルダは言いました。 「やっと復活できたわ。どれ、試しにやってみるか。十人の小人たちよー。我が元に来るのよー。」 すると、遠くにいる小人たち十人は、いきなり苦しそうな声を出して、目が真っ赤になり、魔女ミノルダの元に飛ばされてしまいました。 23 十人の小人たちは、魔女ミノルダの元に集まり、大きな黒いゴツゴツしたドラゴンに変化させられてしまいました。 その黒いドラゴンは、魔女ミノルダを乗せて塔の上に行きました。 塔の上に着くと、黒いドラゴンは分裂して、ドラゴンの頭がついた杖になったり、黒い帽子になったり、黒いマントになり、魔女ミノルダをまといました。 魔女ミノルダは言いました。 「アーッハハハーッ!見たか今のカッコいいだろ。私は、最強の魔女さ。五十年修行を積んだ私は、最高の魔女ミノルダ様さ。過去にそこら辺の魔女ツングスに負けた?この私が? あれはうそだ。私が負けるはずがないのさ。 そこの三人の魔法使いさん。塔の上に来な! お前たちを倒して若さをとり、私は永遠に生きて、世界は私のものにしてやるのさ。アーッハハハーッ!」 24 福笑、神笑、愛笑は、魔女ミノルダの言うとおり高い塔を昇り始めました。十人の小人たちが心配でたまりません。 昇っていくと、そこには、人食い花がいました。魔女ミノルダの仕業でしょう。 福笑は、サーッと、赤の薬を降りまきました。 人食い花は砂になり消えていきました。 安心しましたが、まだまだ魔女ミノルダには、辿り着きません。 25 さらに昇っていくと、そこには人喰いガメがいました。 神笑が、人喰いガメに宝石を投げつけました。 宝石からつるが伸びて、人喰いガメを縛りつけました。 すると、宝石に魔力を吸い取られて、小さなカメになってしまいました。三人は、 「ガーハハハッ!」「アーハハハッ!」 「笑いすぎてお腹がねじまがりそうだー!」「そうね。」「っんだ!」と、大笑いしました。神笑は、そっと胸のポケットにカメをしまいました。 26 やっと、背の高い魔女ミノルダのいる階まで来ました。 「よく来たな。少しは魔法の力があるみたいだね。 面白そうだよ。でもこれならどうだい、お前たちのおばあちゃんツングスには効かなかったけどね。」 そう、魔女ミノルダが言うと、黒光りする雷が何度も落ちてきました。愛笑は、魔法で壁を作りましたが、黒光りする雷から、雨風がさらに強く降り、壁を貫通してしまいました。そして、愛笑は、塔の外に飛ばされてしまったのです。 福笑と神笑は、強く降る雨風から飛ばされないように必死に塔の柱にしがみついています。 27 すると、 魔法使いリューナと子どものソーラが、助けに来てくれました。黒い雷に勝つには、白い雷しかありません。すぐさま、白い雷を放ち福笑と神笑を守ってくれました。 魔女ミノルダは言いました。 「また、めんどくさいのがきたよ。 やはり先に毒でも飲ませておくべきだったようだね。」 魔法使いのリューナは言いました。 「もうやめて下さい。ミノルダおばあちゃん。今のあなたは私の知っているミノルダおばあちゃんではありません。今のあなたの年齢は150才。普通なら生きていません」 魔女ミノルダは言いました。「うるさい。うるさいね。この子娘。私は永遠に生きるんだよ。 誰がなんと言おうが関係ないのさ。」 子供のソーラも言いました。 「ミノルダおばあちゃん。永遠に生きるなんてないよ。人はいつかは天国に行くの。だから、みんなも命も、大切にしていけるんだよ。」 28 「あーうるさいねー。どいつもこいつも、きれいごとばかり、みんな消えてしまえばいいさ。 ドラゴンよ、こいつらを食べてしまえ。」 と、ドラゴンの頭のついた杖に命令しました。 魔法使いのリューナはそうはさせまいと、ミノルダの杖に炎を吹きかけました。 すると十人の小人たちが元に戻りました。 29 「なに!」魔女ミノルダは目をひん剥き、 「なぜ、私が追い詰められなければいけないのさ、これじゃあの時と同じではないか。いや、いや、いや、ちがうさ、私はね、すごい穴を見つけたのさ!」 魔女ミノルダは、ブラックホールを出して、全てを闇に吸い込もうとしました。 すると十人の小人たちが「二度も助けてくれた命、無駄にしない。今度はおいらたちが守る番だ!」と言って十人の小人たちが、虹色の龍になりました。 虹色の龍は、魔女ミノルダに虹色の炎を吹き出しました。 魔女ミノルダは、黒い雷を放ち続けています。 虹色の龍からの炎と黒い雷が押し合っています。 すると、エルフのリュシャーナが飛んできて女神の姿に変わり虹色の龍の背に乗りました。女神になったリュシャーナは、虹色の炎を巻き込んで、黒い雷に矢を放ちました。 黒い雷は、虹色の炎の矢が貫通して消えていきました。 虹色の炎の矢は、魔女ミノルダの心にある黒い塊に刺さりブラックホールに吸い込まれていきました。 「ギャーッ」魔女ミノルダは、ガクンと倒れ込みました。しかし、リューナと子どものソーラがミノルダを抱き寄せました。 30 魔女ミノルダは、弱々しい声で言いました。 「私はね、強い魔法使いになりたかったんだよ。でもね。私より偉大な魔法使いになったあんたらのおばあちゃんがうらやましくてね。憎んでしまったんだよ。ずっと憎み続けていたのさ。なんでも叶えてくれる悪魔がきてね、黒い魔女ミノルダになってしまった。我が子孫の魔法使いリューナとソーラよ。助けてくれてありがとう。」 31 そこへ上から光が差してきました。 「私は大天使アルテスミスです。 魔女ミノルダは罪を償わなければなりません。 私がお連れいたします。」大天使アルテスミスが、魔女ミノルダを大きな手の上に乗せて、連れて行ってくれました。 32 福笑と神笑たちは、みんなで力を合わせて、 魔女ミノルダを守りました。 この話は語り継がれることになるでしょう。 33 「ガーハハハッ!」 「アーハハハッ!」 「笑いすぎてお腹がねじまがりそうだー!」 「っんだ!」 「そうだねーっ」 福笑と神笑、 みんなは、 いつまでも大笑いして幸せに暮らしました。 めでたしめでたし。 おしまい
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