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それからしばらく、また二人で外を眺めていた。
時折り風が混じる。
ざぁ ざぁ ざぁ
それが、大きく 小さく 眠りを誘うかのように耳に忍び込む。二人ともそれに引き込まれ、うとうと とろとろ 夢見心地だ。
どちらともなく、目を合わせる。
(こっちに来いよ)
(そっちこそ、こっちに来れば?)
無言のやり取り。今日のベッドは離れるのがもったいない。結局、天井を見たり、外を見たり、目を閉じたり。
「こんな日もいいもんだなあ」
「そうね。たまにはいいわね」
穏やかで、満たされてるからそれ以上が要らない。
(第一) 彼が思う。
(せっかく今のんびりしてるのに) 彼女も考える。
(これから動き回って)
(汗をかいて)
(シャワーを浴びて)
(気がついたら、夕方?)
相手から来るならいいけど、自分から仕掛けるのは億劫だった。そんな勢いがあるなら、先に買い物に行ってる。お互いに腹は減っている。
でも、それはしばらく無視できそうだ。
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