明日、きっと別れを告げます

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「――ち、真知、着いたよ」 「あ、うん」 「眠たくなっちゃった?」 「いえ……これ、……落ちてたんだけど」 「え?」 意を決して靴下を拾い上げ、高野さんに突き付ける。 高野さんは一瞬ハッとした顔をしたけれど、すぐに「ああ」と穏やかな表情に戻った。 「ありがとう」 「……そうじゃなくて、高野さん子供がいるの?」 そんなわけないだろう。 勘違いするなよ。 そんな答えを求めていたと思う。 でも、違った。 「いるよ」 あっさりと、そう、なにも悪びれることもなく答えられ、目の前が真っ暗になった。 「……ど、どうして……」 唇が震えて上手く言葉が出てこない。 けれど高野さんは「うーん」と少し考える素振りを見せてから、困ったようにぐぐっと眉を下げる。 「子供がいるっていっても妻とは上手くいってないし、もう離婚する予定なんだ。向こうが渋ってなかなか離婚してくれないだけで、とっくに夫婦生活は破綻しているんだよ」 「破綻……?」 「そうなんだ。俺をATMとしか思ってなくてさ、お金に執着されて困ってる。俺が本当に好きなのは真知だよ。真知に出会った瞬間に運命を感じたんだ。だから安心して」 「……離婚するの?」 「するよ。俺は真知と一緒になりたいから」 ね、と穏やかに微笑まれて、「……うん」としか答えられなかった。
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